【上達の壁】“レベル”の勘違いが成長を止める理由

ピアノの「レベル」は曲の難易度だけで決まらない

このブログでは、「ピアノが上達しない理由=“上達の壁”」をテーマに、さまざまな視点からお届けしています。

今回はその中でも、多くの人が陥りやすい思い込み――

「今弾いている曲のレベル=自分の演奏力」

という考え方について掘り下げていきます。
実はこの思い込みこそが、上達を妨げる“壁”の一つになっているのです。

たしかに、ブルグミュラーやツェルニー、ショパンなど、曲にはある程度の「難易度の目安」があります。

でも、それだけで「自分の演奏レベル」を測ろうとすると、実際の技量とのズレが生まれやすくなります。

今回は、まずこの「レベルの勘違い」について解説し、次回はそれがどう“成長を止める”のか、具体例を交えてお話ししていきます。

 

ブルグミュラー=中級? その考え方が危ない理由

たとえば、「ブルグミュラーを終えたから中級」「ツェルニー⚪︎番を弾いたから上級」といった判断を目にすることがあります。でも、それはあくまで「目安」にすぎません。

たとえ速いテンポで最後まで弾けたとしても、それが本当に「弾けている」とは限らないのです。

大切なのは、その曲を通して必要なテクニックや音楽的な理解がしっかり身についているかどうかなのです。

 

ピアノは“味”で勝負する芸術 100m走じゃなく、料理に近い

ピアノの演奏レベルは、100メートル走やTOEICのように「何秒で走れた」「何点取れた」といった数値で明確に測れるものではありません。

こうした絶対的な基準がないという点で、音楽は料理に似ています。

たとえば、味噌汁や焼き魚、卵焼きといった家庭料理は、一見シンプルに思えますが、「基礎ができていないと美味しく作れない」典型ですよね。

だしの取り方、火加減、味の調整などの基本ができていないと、どんなに簡単なレシピでも仕上がりに大きな差が出ます。

一方で、懐石料理やフレンチのフルコースといった高度で華やかな料理も、やはり基礎の積み重ねがあってこそ完成するものです。

ピアノもまったく同じです。

「この曲は簡単そう」「あの曲は難しそう」といった表面的な印象ではなく、その曲に求められる演奏技術や表現力をどれだけ身につけているかが、本当の演奏レベルを決めるのです。

 

他人との比較が、レベルの誤解を生む

「〇年習ってるから、このくらいの曲は弾けなきゃ」
「同じ時期に始めた友達はもっと進んでるのに…」

そんなふうに感じるのは、決して珍しいことではありません。

でも、ピアノの上達には、人それぞれのペースがあります。

持っている能力
生活の中で「どれくらいピアノを優先したいと思っているか」
そして実際に練習に使える時間など
どれをとっても、誰一人として同じではありません。

だからこそ、習ってきた年数や、今弾いている曲の“ランク”だけで自分を判断するのではなく、

「どう弾けているか」という中身に目を向けることが、真の上達につながっていきます。

 

客観的な基準が欲しいなら「コンクール」も一つの方法

「自分のレベルがどのくらいなのか、やっぱり何か基準が欲しい」
そんなときは、コンクールへの挑戦も検討してみてください。

今では、コンクールはプロ志望の人だけでなく、アマチュアや趣味の学習者を対象としたものも数多く開催されています。

もちろん、コンクールにも絶対的な評価基準があるわけではありません。それでも、以下のような形で自分の演奏を客観的に見つめ直す貴重な機会になります。

・同じ課題曲で他の人の演奏と比較できる

・講評から具体的な改善点を得られる

・今の自分の立ち位置を客観的に知ることができる

こうした経験を通して見えてくるのは、単なる「順位」や「点数」だけではありません。

賞を取ることがすべてではなく、
大切なのは、「どんな評価を受けたか」「自分に足りない部分は何か」に目を向けることです。

そうすることで、次に進むべきステップが、より明確に見えてきます。

 

まとめ:演奏力は「何を弾いたか」ではなく「どう弾けているか」で決まる

ピアノのレベルを、「弾いている曲の難易度」だけで判断するのはとても危険です。

その曲をきちんと理解できているか?

音楽的な表現やテクニックが備わっているか?

演奏の完成度が本当にその曲に見合っているか?

これらの視点で、自分の演奏を見直すことが、上達への一歩に確実につながります。

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