なかなかピアノを練習しない子に、どう向き合えばいい? 

先月からしばらくの間、「上達の壁」シリーズとして
「練習を頑張っているのに、思うように成果が出ない」方に向けた内容をお届けしてきました。

今後はそれに加えて、
「ピアノを始めたばかりの方」や「練習の習慣づけでつまずいている方」に向けた内容も発信していきたいと思います。

 

「はじめが肝心」

何事も“はじめが肝心”と言いますが、ピアノ学習も同じです。

特に、習い事そのものが初めてだったり、
「まだピアノが好きかどうかわからない」「難しいことはやりたくない」という年頃のお子さんにとって、

最初の壁になりやすいのが練習の習慣化です。

一度習慣がついてしまえば、それほど大変ではありませんが、その「最初の習慣」をつけるまでが、多くのご家庭の悩みどころです。

今日は、私がレッスンで心がけていること、そしてご家庭でできるサポートの工夫についてお話しします。

 

「練習しなさい」と言う前に考えたいこと

中には、はじめから楽しそうにピアノを弾き、練習も進んでやるお子さんもいます。そういう場合は、ぜひそのまま温かく見守ってください。

一方で、「なかなか練習したがらない子」も少なくありません。
そんな時にまず大切なのは、“なぜ練習をしたがらないのか”を知ることです。

よくある理由としては

・難しいことをやりたくない
・うまくできずイライラする
・練習する時間が疲れていたり眠い
・周囲が騒がしくて集中できない
・「やりなさい」と言われるのが苦痛

などが挙げられます。

 

「できた!」という成功体験こそがやる気の原動力

一方で、子どもが自分から進んでやりたがるのは、

・楽しいこと
・簡単にできること(達成感を感じられること)

が多いです。

もちろん中には「難しいことに挑戦するのが好き」というお子さんもいますが、ほとんどの子は、はじめは“できること=楽しい”から次の意欲が生まれるのではないでしょうか。

そのため、まずは“遊びの延長のように”取り組める環境を作ることが大切です。

「気づいたら学びになっていた」

そんな状態が理想ですね。

 

「できるから楽しい」と感じさせる【レベル設定の工夫】

レッスンでも、子どもたちは「できるようになると楽しい」「もっとやりたい!」という反応を見せます。

ただし、何が“できる”かは個人差があります。だからこそ、その子に合ったレベル設定が大切です。

「この年齢ならこれくらいできるはず」「兄弟や親ができたから、この子もできるはず」
といった基準は一度手放してみてください。

 

スモールステップが大事

練習に前向きになれないお子さんには、スモールステップをおすすめします。
それでも難しい場合は、超スモールステップにしてみましょう。

たとえば

・練習時間は「5分」でOK。まずは毎日続けることを目標にする。
・練習内容は「すぐにできること」を8〜9割、「少しチャレンジ」を1〜2割にする。

この段階の目的は「上達」ではなく、「習慣化」です。

ですので、5分も難しければ、それ以下でも大丈夫。できることだけを繰り返す日が続いても構いません。

なぜなら、「できた!」という小さな成功体験が、次のチャレンジへの原動力になるからです。少しずつ積み重ねるうちに、子ども自身が「もうちょっとやってみようかな」と思うようになります。

「できることだけやるなんて意味がない」と思われる方もいるかもしれません。

でも実は、“できることを自分の力で続けられる”という体験こそが、子どもに「自分でできた!」という成功体験を積ませる大事なプロセスです。

難しいことに挑戦するのは、その自信が育ってからで十分。“できることをやる”のはサボりではなく、育ちの準備期間なのです。

 

習慣が定着すれば親御さんの負担も激減します

習慣が定着すると、お子さんは自分からピアノに向かうようになります。最初のうちは親御さんのサポートが必要ですが、大変なのは最初だけです。

毎日の5分が習慣になれば、その先、どのように練習時間を増やし、内容を深めていくかは、講師である私にお任せください。

 

「練習しなくなった時」も同じ対応で

「以前はよく練習していたのに、最近はサボりがちになった。」というご相談もよくあります。

原因はさまざまで、「忙しい」「疲れている」「テキストの難易度が上がった」などが多いでしょう。

そんな時も、焦らず同じように対応してください。
一時的に課題の内容や量を調整し、お子さんの体調や気分が戻るのを温かく見守りましょう。そうすれば、必ずまた学習をスムーズに進められますので大丈夫です。

夏のように疲れやすい時期は、特に無理をしないようにしましょう。

 

声がけについて

一番大変なのは、毎日の練習を見守る親御さんです。
ご自身も忙しかったり疲れていたりする中で、子どもが思うように動かないと、イライラするのは当然のことです。

「こんな簡単なこともできないの?」「たった5分の練習もできないの?」

――つい、言ってしまいそうになる言葉です。でも、そんな時こそ一呼吸おいてください。

【そこで】

次回は、練習のやる気や習慣づけと深く関わる「言葉がけ」についてお話しします。

さらにその次には、もう一つの大切な要素、「練習環境の整え方」を取り上げたいと思います。

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