ピアノの本番で雑念が入ってしまうのはなぜ?その原因と対策

発表会や本番の演奏中に「集中できない」「関係ないことを考えてしまう」という相談をよく受けます。

たとえば、
・小さなミスが気になってしまう
・うまく弾かなきゃと思うほど崩れてしまう
・なぜか「今日の夕飯何かな…」など全然関係ないことを考えてしまう

こういったことは、実はとてもよく起こることです。

また、演奏と関係ないことを考えてしまうということについては、「そんな余裕があるなんて信じられない」と感じる方もいるかもしれません。

ですが、これは集中力が足りないというよりも、本番特有の心と体の状態が関係していると考えられます。

 

■ 雑念が入る本当の理由

本番で雑念が入るのは、緊張やプレッシャーが高い状態で、注意のコントロールが不安定になっているケースが多いようです。

例えば、本番では
・間違えてはいけない
・止まってはいけない
・うまく弾かないと
・見られている

といったことを同時に気にしています。

その結果、頭の中がいっぱいになり、演奏に必要な集中がうまく働きにくくなります。そしてその隙間に、関係のない思考(雑念)が入りやすくなります。

また、「雑念を出さないようにしよう」と思うほど、かえってそのことが気になってしまうこともあります。

さらに本番での集中状態は、ずっと一定ではなく、強く集中している状態と少しゆるむ状態を行き来するような揺れがあります。そのタイミングで雑念が入り込むこともあります。

また、これは重要なポイントなのですが、雑念は「退屈だから入るもの」ではなく、むしろ体が緊張して高ぶっている状態、いわゆる交感神経優位の中で起こることが多いようです。

つまり、緊張の中で集中が少し揺れたときに起きる、自然な現象と言えそうです。

 

■ ではどうすればいいのか?

大切なのは「雑念をなくすこと」ではなく、雑念があっても演奏を続けられる状態を作ることです。

① 「雑念が入っても弾ける状態」まで弾き込む

普段の練習で大事なのは、暗譜を完成させることだけではありません。

たとえば、
・途中からでも弾き始められる
・少し気がそれても止まらない

というように、注意がそれても演奏が続く状態を作ることが大切です。

よく昔の先生に「寝ていても弾けるように」と言われたのは、おそらくこのような意味だと思います。

② 日頃から細部まで意識を向ける

雑念は消そうとすると、むしろ増えやすいため、普段の練習のときの意識の向け方を見直してみてください。

たとえば演奏中は、
・メロディの歌い方
・ハーモニーの響き
・左手の流れ
・全体の音量のバランス

など、細部まで意識を向ける練習をしておきましょう。

日頃から「今どこを聴いているか」を意識することが、本番での安定につながります。

③ 本番中に自分をジャッジしない

本番で多くの人が
・間違えるな
・大丈夫かな
・見られている
という“監視役”を作ってしまいます。

この監視が強いほど、集中は分散します。
そしてこれは、完璧主義的な思考が強くなっている状態とも関係しています。

本番では「うまく弾こう」と思わず、そのままの自分を受け入れることが大切です。

④ 雑念が入ったときの「戻り方」をイメージしておく

もし雑念が入っても、「ここに戻る」という場所を決めておくと安心です。

たとえば、次のフレーズの頭や特定の場所など、すぐ戻れるポイントを作っておきます。

雑念が入ったこと自体は失敗ではなく、「戻れたら成功」とプラスに考えることが大切です。

⑤ 小さな本番で慣れていく

いきなり大きな舞台だけで慣れようとすると負担が大きいので
・ストリートピアノ
・身近な人の前での演奏
など、「失敗しても大丈夫な場」で経験を積むことが効果的です。

こうした場では、途中で止まってもやり直しても問題ないため、「崩れても続ける力」が自然と育ちます。

 

■ 雑念とうまく付き合うために

雑念が入ると、「集中できていない」「本番に弱い」などと思いがちですが、そうではありません。演奏の制御を“注意”に頼りすぎていることが多いのです。

そのため、雑念をなくすことにとらわれすぎず、これまでご紹介した対策の中から少しずつ試してみてください。

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