本日は、レッスンでもよく話題になる「人を惹きつける演奏」についてお話したいと思います。
そのような演奏者のことを
「ああいう演奏ができる人は、感情を込めるのが得意で羨ましい。(感情を込めた演奏=魅力的な演奏だと思っている)」
「ああいうお子さんは、元々持ってる才能が違うんでしょうね。」
などと生徒さんや親御さんがよくおっしゃいますが
そんな単純な話ではありません。
営業マンやプレゼンの発表者をイメージしていただくと分かりやすいと思います。
いくら話すのが得意でも、自分の話したいことだけを話していて、人の心を掴むことができるでしょうか。
大勢の前で話す時、自分の思いを熱く語れば、聞き手の注目を集めることができるでしょうか。
逆に、話すのが得意ではない人は、諦めるしかないのでしょうか。
そんなことはないですよね。
営業やプレゼンで成功する人は、自分の話に耳を傾けてもらったり人の心を動かすために
ありとあらゆる工夫を日常的にしていると思います。
音楽も同じで、これにエンターテイナーやパフォーマーとしての意識が加われば完璧です。(もちろんアマチュアでも!)
自分の考えや感情も大事ですが、人を楽しませるためにはどうすればよいのかという、聴き手の心の動きを想像できなければ
人の心を動かすことはできません。
自分語り満載の演奏って、聴いてる方はすぐにお腹いっぱいになりますよね。
聴き手の存在を意識せずに演奏するということは、独り言をつぶやいているようなもので
それを人前で弾くということは、独り言を公開するということです。恐ろしくないですか?
そうではなく、聴き手がいない場合でも常にいることを想定して、聴き手を楽しませることを続けていれば
センスや才能がなくても、どんどん洗練された演奏になっていくと思います。
昔、師匠に
「演奏者の自信がないとか気分が乗らないとか、体調が悪いというのは、聴き手には関係のないことで、どんな時でも私たちがやるべきことは、聴き手を楽しませることのみ!」
と言われたことがありますが、それが一番大切なことだと今でも思っています。
具体的には、どうすれば人の感情が動くのか
間の取り方、テンポの動かし方、音量のバランスなどをあれこれ試すことが、音楽の面白いところです。
ほんのちょっとの変化を加えることで、印象は大きく変わります。
そういったコツが掴めてくると、魅力的なピアニストがどんな風にそのテクニックを使って、人の心を動かそうとしているのか
などもよく見えるようになるので、聴くこともますます楽しくなります♪